在宅医療の現状と問題点 - ソウメディカルデザイン
在宅医療ファミリー

在宅医療の現状と問題点

在宅医療の現状と問題点

母が高齢で心臓に持病を抱えているため、在宅医療(訪問介護)のことを考えたり、調べる機会が増えてきました。母曰く、最期は在宅医療を利用したいと話しています。そのように思う方も最近では多いのではないでしょうか?

考察したことをブログに記述したいと思います。テキストばかりで読みづらいですが、ご容赦ください。

○在宅医療の現状と問題点

2021年における総務省の調査によると、日本における高齢者の割合は、先進国の中で最多の29.1%となっている。

我が国では、超高齢化社会を迎え、通院困難になった患者さんや最期の時を自宅で過ごしたいと希望する人が増え、QOL(クオリティ オブ ライフ)を維持しながら療養する方法として在宅医療が注目されている。

1970年代以降、画像診断などの技術の進歩に伴い、迅速な診断と治療が可能である救急外来が高水準の医療を提供することで、救急医療を含めた病院医療が隆盛したが、一方で希望に沿わない医療の継続や病院に滞在することを余儀なくされていた患者さんも多かった。そんな中、患者さんの希望や思いを重視して、自宅での継続的な医療を提供することを目指した医師達が現れ、かかりつけ医による在宅医療が行われている。

誰しもが必ず歳は取り、いつの日か、病院や施設に入るかどうか?と、この現実に直面する。自分であれば、自宅で治療が継続でき、介護が受けられるならば、自宅にいたいと思うだろうか。また、自分が最期を迎えるとき、どこで最期を迎えたいだろうか。考えさせられるテーマである。

在宅医療は普及しつつあるが、まだ、それは日本の医療の中で小さな流れである。もし、身体機能が低下しても、自宅で療養したいとき、それが可能かどうかは、自分の住む地域の在宅医療普及の如何によるものである。医師の訪問を受けながら、自宅で継続的な療養が可能なことを知らない方も多い。

財政的な側面で見れば、日本は世界一の病床大国であり、病床が多いと医療費が増える医療経済学の考え方は、病床を削れば医療費を削減できることになり、結果的に国民が負担する税金や医療保険料を抑制できる。

ただ、単に病床を削るだけだと、入院している患者が行き場所を失う医療難民になりかねない。そこで、病床削減の受け皿として、在宅医療が重視されている面がある。

つまり、自宅療養できる患者を入院から在宅医療にシフトさせることで、医療費の支出を抑制・削減することに繋がり、社会貢献も可能となってくる。

・在宅医療の現状
少子高齢化の進行や地域包括ケアシステム、病診連携など、在宅医療を巡る状況は日夜変化し、進歩を続けている。少なくとも、今後も在宅医療を受ける患者数は増加傾向にあると見込まれており、体制の整備や社会への浸透などが広く期待されているのが現状である。

現代の在宅医療における特徴は多職種連携である。
以前の主なプレーヤーが医師と看護師だったのに対して、歯科医師、薬剤師、栄養士、リハビリテーションスタッフなども加わり、チーム医療として機能するようになってきている。

また、24時間対応により、緊急事態のみの対応ではなく、患者さんや家族の不安に対して、24時間にわたる対応を行うことで、不安を取り除いて自宅療養継続の支援が図られている。
高齢者における医療の形態も多様化しており、国は在宅医療を推進している。具体的な推進方策としては、医療サービスの対価として医療機関に支払われる診療報酬を2年に一度見直す際、在宅医療を実施する医療機関に対して、様々な加算措置を講じるなど、手厚く診療報酬を分配している。

・在宅医療の問題点
1980年代以降、65歳以上の方は、子ども夫婦と同居する世帯は減少し続けており、方や、65歳以上の夫婦のみの世帯や単独世帯は増加の一途を辿る。近年、核家族が増えており、数十年前であれば3世代で生活する世帯も珍しくなく、家族全員でお世話をするということが可能であったが、現代では核家族世帯と夫婦共働きが主流のため、離れて暮らす高齢者の介護を十分に行うことが難しくなってきている。

このように家族構成が変化する中で、高齢になった夫婦のどちらかが要介護になる老老介護や、独居で介護が必要になるケースもあり、介護者の不在、もしくは介護力の不足によって在宅療養が困難になってしまう現実味も帯びてくる。このように、家族が同居して介護できるという前提が当たり前でない今、それを在宅で暮らすことができない要因に終わらせず、最期まで自宅で過ごしたいと望む方々の思いを叶えるのが、在宅医療の役割だと思う。

2020年以降の新型コロナウイルスの影響によって、在宅医療の課題も浮き彫りとなった。訪問時の接触を恐れて、受診控えの影響や病院・診療所間の連携についても、入院依頼の際、スムーズに行えない事例が増えている。

医師の立場で考えれば、急性期病院の恵まれた医療の環境とのギャップが激しく、現場では臨機応変に対応しなければならない。
訪問する家によっては、丸1日誰とも話さずにいる患者や、ごみが山積みの中で暮らしている患者がいることも多々ある。

このようなことを踏まえて、日本医学会連合は、オンライン診療による医療機関と在宅患者のコミュニケーション・ツールの拡充や訪問看護事業所のICT導入支援などを提言している。

在宅医療関係者と医師会、行政、消防などで情報連携協議会を組織する必要性も指摘した。

次回は、これからの在宅医療や診療圏について書きたいと思っております。

どうぞ宜しくお願い致します。

 

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